【コラム】:過失割合について(歩行者と自転車との事故 2.対向又は同一方向進行歩行者の事故(2)歩道における事故)
近年,ロードバイクや電動アシスト自転車が普及し,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまからご高齢の方まで,たくさんの方が自転車に乗っています。
自転車とはいえスピードは速いので,歩行者と自転車との事故の場合,衝撃を生身に受け,死亡事故につながることがあります。
死亡事故は,賠償額が高額になるため,1割の過失割合で受け取れる金額が大きく変わります。そのため,適正な過失割合で解決することは非常に重要となります。
事故態様ごとに基本的な過失割合をご紹介していますが,この割合がすべてではなく,速度超過や直近まで被害者に気づかなかったことや,様々な事実で過失割合は修正されます。一つの参考としてご理解いただければと思います。
2.対向又は同一方向進行歩行者の事故
(2)歩道における事故
自転車は,車両であるから,歩道と車道との区別のある道路においては,原則として,車道を通行しなければならず,道路外の施設又は場所に出入りするためやむを得ない場合において歩道を横断するとき等に歩道を通行することが許されているにすぎません。
ただし,普通自転車は,①道路標識等により普通自転車が当該歩道を通行することができることとされている場合,②当該普通自転車の運転者が,児童,幼児,70歳以上の者又は身体障害者福祉法別表に定める障害を有する者である場合,③車道又は交通の状況に照らして当該普通自転車の通行の安全を確保するため当該普通自転車が歩道を通行することがやむを得ないと認められる場合には,歩道を通行することができます。
普通自転車が歩道を通行することができる場合,普通自転車は,当該歩道の中央から車寄りの部分を徐行しなければなりません。また,普通自転車の進行が歩行者の通行を妨げることとなるときは,一時停止しなければなりません。自転車の徐行とは,歩行者の歩速が時速4km程度出あることから考えて,時速6~8km程度と解されています。
なお,歩道には道路交通法17条4項及び道路交通法18条1項が適用されないことから,普通自転車は,歩道の中央から車道寄りの部分又は普通自転車通行指定部分のどの部分を通行することもできると解されています。また,歩道を通行することができる場合,左右いずれの歩道をも通行することができます。
ア 【87】自転車が歩道を直進走行している場合
歩行者:0 自転車:100
歩行者がわずかに注意すれば事故を回避することができたのに,予想外に大きくふらつくなどしたりして,自転車の進路の前方に急に飛び出し,普通自転車に衝突・接触された場合は,急な飛び出しとして歩行者に加算修正されます。歩道通行を許されていない自転車及び徐行していない普通自転車との関係では,加算修正はされません。
イ 【88】自転車が歩道外から歩道を通過又は歩道に進入しようとした場合
歩行者:0 自転車:100
自転車は,歩車道の区別のある道路においては,車道を通行しなければならず,道路外の施設又は場所に出入りするためにやむを得ない場合において歩道を横断するとき,又は道路交通法47条3項若しくは道路交通法48条の規程により歩道で停車し,若しくは駐車するために必要な限度において歩道を通行するときに限り,歩道を通行することが許されているにすぎません。しかも,そのような時には,自転車は歩道に入る直前で一時停止し,かつ,歩行者の通行を妨げないようにしなければなりませんので,歩道を通行する歩行者の保護は絶対的といって良く,原則として過失相殺をすべきではありません。
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