【コラム】:10歳,女子が死亡した場合
10歳,女子が交通事故により死亡した場合,どのような損害賠償の種類が請求できるのかを,説明させていただきます。
(1)治療費
救命治療などに要した治療費を請求できます。
(2)葬儀関係費
死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。
しかし,若年でお亡くなりになくなった場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。
(3)死亡慰謝料
2500万円ほどで認定されることが多いです。
(4)逸失利益
死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
基礎収入について,女子のみで算定するか,男女計で算定するか,いずれの方法もあるため,それぞれ説明します。基礎収入を,女性のみの平均賃金とする裁判例もありますが,収入の男女差が小さくなっている傾向から,被害者が就労を開始する数年後には,現在より更に男女差が小さくなっている可能性が高いとして,男女計の平均賃金を基準にする裁判例は非常に多くみられます。もっとも,①基礎収入が男女計の場合,②生活費控除率についても男性と同様に40~45%と認定する裁判例がほとんどです。
ア 算定方法その1(女子のみで基礎収入を算定)
①基礎収入
364万1200円です(平成26年賃金センサス女計・学歴計・年齢計)。
②生活費控除率
30%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
67歳-10歳=57年間のライプニッツ係数 18.7605
18歳-10歳=8年間のライプニッツ英数 6.4632
10歳のライプニッツ係数 18.7605-6.4632=12.2973
以上より,逸失利益は,①364万1200円×(1-②0.3)×③12.2973=3134万3850円です。
イ 算定方法その2(男女計で基礎収入を算定)
①基礎収入
479万6800円です(平成26年賃金センサス男女計・学歴計・年齢計)。
②生活費控除率
40%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
67歳-10歳=57年間のライプニッツ係数 18.7605
18歳-10歳=8年間のライプニッツ英数 6.4632
10歳のライプニッツ係数 18.7605-6.4632=12.2973
以上より,逸失利益は,①479万6800円×(1-②0.4)×③12.2973=3539万2613円です。
交通死亡事故は賠償額が大きくなるため,弁護士の腕次第で,賠償額に数千万円の違いが生じることがあります。
女子が被害者の場合,逸失利益についてどのような算定方法で請求するかを検討する必要があります。死亡事故について圧倒的な実績を誇るしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。