【コラム】:60歳,男性,会社役員,大卒,一家の大黒柱が死亡した場合
60歳,男性,会社役員,大卒,一家の大黒柱(被扶養者妻)が交通事故により死亡した場合,どのような損害賠償の種類が請求できるのかを,説明させていただきます。
(1)治療費
救命治療などに要した治療費を請求できます。
(2)葬儀関係費
死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。
(3)死亡慰謝料
2800万円ほどで認定されることが多いです。
(4)逸失利益
死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
①基礎収入
役員報酬には,Ⅰ労務対価部分と,Ⅱ利益配当部分の性格があります。
会社役員が死亡した場合は,Ⅰ労務対価部分だけでなく,Ⅱ利益配当部分も失うことから,役員報酬全額が基礎収入となりそうですが,多くの裁判例は,Ⅰ労務対価部分のみ基礎収入として認定しています(最判昭43・8・2判時530・35)。
もっとも,小規模会社や,サラリーマン役員など,役員報酬の性格が,Ⅰ労務対価が100%であると認定される場合は,役員報酬全額が基礎収入となります。
被害者が実際に労務を行い,役員報酬が600万円と高額ではなく,従業員が数名と小規模であった場合,役員報酬全額が労務対価であって基礎収入です。
②生活費控除率
裁判例は,一家の大黒柱の生活費控除率を30~40%で認定することが多いのですが,ⅰ被扶養者が1人の場合は40%,ⅱ被扶養者が2人以上の場合は30%で認定する傾向にあるといえます。
被扶養者が妻のみである場合は,40%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
就労可能年数は原則として67歳までの年数です。ただし,67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者については,平均余命の2分の1を就労可能年数とします。男性60歳の平均余命は,23.36です(平成26年簡易生命表)。就労可能年数は11年間です。
11年間のライプニッツ係数は,8.3064です。
以上より,逸失利益は,①600万円×(1-②0.4)×③8.3064=2990万3040円です。
交通死亡事故は賠償額が大きくなるため,弁護士の腕次第で,賠償額に数千万円の違いが生じることがあります。
死亡事故について圧倒的な実績を誇るしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。