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【コラム】:上半期の愛知県内の交通事故死者数増加

2022-07-25

 愛知県警察によると,令和4年上半期に愛知県内で発生した交通事故による死者は69人でした。過去最少となった昨年の同じ時期と比べ18人多く,大阪府の70人に次いで全国ワースト2位となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/hasseijoukyou202206.pdf

 死者数のうち歩行者が31人と4割を超えており,事故類型別で横断中が多いことから,横断中の歩行者が巻き込まれる事故が増えていることが分かります。
 また,歩行者31人のうち,65歳以上の高齢者が22人と非常に多くなっています。

 

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。
 なお,治療の結果,後遺障害が残り,その後事故とは別の理由で亡くなったとしても,死亡の事実は考慮せずに,事故後生存している場合と同様に後遺障害逸失利益は請求できます。

 

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:人身傷害保険利用時の請求について(最判令和4年3月24日)

2022-06-10

 交通事故の被害に遭い,こちらにも過失がある場合は,被害者やその家族が加入する人身傷害保険を先行して利用することがあります。
 人身傷害保険では,被害者に過失がある場合でも,人身傷害保険を利用するときは過失割合にかかわらず定額の補償がされますが,利用後に相手方に請求するときは過失相殺されます。
 この際の過失相殺の方法について,過失相殺分は,被害者の請求側で考慮されるのか(絶対説),人身傷害保険側で考慮されるのか(裁判(訴訟)基準差額説)の2種類があります。

 

例:弁護士基準での損害が総額1000万円,人身傷害保険での補償額が500万円,過失割合が20:80の場合

1.絶対説
被害者は,人身傷害保険で補償を受けた差額分(1000万円-500万円=500万円)を請求したいところですが,過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は,被害者の請求側で考慮されるため,被害者が請求できる金額は,300万円となります。(500万円-200万円)。
一方,人身傷害保険から相手方への請求(求償)は500万円です。

2.裁判(訴訟)基準差額説
過失相殺分(1000万円×0.2=200万円)は,人身傷害保険側で考慮されるので,人身傷害保険から相手方への請求(求償)は300万円になります(500万円-200万円=300万円)。
一方,被害者の請求できる金額は,500万円です。

 

この問題については,最高裁判所が,裁判(訴訟)基準差額説を採用するに至っています(最判平成24年2月20日判時2145号103頁)。

 

その後,人身傷害保険会社が自賠責保険を受領していた場合に,人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めた裁判例が出ました(福岡高判令和2年3月19日,判例タイムズ1478号52頁)。
上記の例でいうと,人身傷害保険会社が自賠責から120万円を受領していた場合,被害者の請求額500万円から120万円を控除し,被害者の請求できる金額は380万円となります。
この裁判例は保険会社寄りの内容となっており,裁判(訴訟)基準差額説を主張した際の反論として保険会社が引用することが多くありました。

 

しかしながら,この裁判の上告審において,最高裁判所は,福岡高判を破棄して,人身傷害保険会社が回収した自賠責保険金額について損益相殺を認めないと判断しました(最判令和4年3月24日)。
上記の例でいうと,人身傷害保険会社が自賠責から120万円を受領していた場合でも,被害者の請求できる金額は500万円となります。

 

今回の最高裁判所の判断は被害者寄りの内容となっています。弁護士法人しまかぜ法律事務所では,これまでも裁判(訴訟)基準差額説で相手方へ損害賠償請求をして解決しています。今後も裁判(訴訟)基準差額説で請求を行い,最判令和4年3月24日のように人身傷害保険金が自賠責保険を受領していた場合において,損益相殺を認めずに相手方へ損害賠償請求していきます。
被害者にとって最も適する解決方法を考えてアドバイスし,交渉していきますので,過失割合がある案件,人身傷害保険利用後の相手方への請求案件でお困りの方は,ぜひ,弁護士法人しまかぜ法律事務所にお問い合わせください。

【コラム】:死亡事故の賠償内容について

2022-06-06

 愛知県警察によると,令和4年5月の交通事故死者数が15人となり,前年に比べ増加しています。特に名古屋市内では,5月12日~22日の10日間に3件3人の交通死亡事故が発生し,今年2回目の「交通死亡事故多発警報」が発令されました。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou220531.pdf

 6月は,梅雨入りし天候が不安定となります。天候が悪くなると視界が悪化しますので,ドライバーはスピードを控えるなど安全運転を心がけてください。また,歩行者や自転車の方も,ドライバーから見えていないかもしれないと考えて,安全な行動を取ることが大切です。

 もし,交通事故の被害に遭い死亡した場合,請求できるのは以下の項目です。
1.治療費
  救命治療などに要した治療費を請求できます。

2.葬儀関係費
  死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。ただし,若年で亡くなられた場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。

3.死亡慰謝料
  2500万円ほどで認定されることが多いです。
  もっとも,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ご遺族の過ごしてきた関係,どれだけ愛情をもって接してきたかによって,更に増額しての解決をしています。

4.死亡逸失利益
  死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
 ① 基礎収入は,給与所得者は事故前年の収入です。若年労働者(概ね30歳未満)の場合は,全年齢平均の賃金センサスを用います。
   家事従事者は,女性労働者の全年齢平均の賃金センサスとなります。
② 生活控除率は,一家の大黒柱の場合,被扶養者1人で40%,被扶養者2人以上で30%です。
女性は30%,男性(独身,幼児等含む)は50%となっています。
③ 就労可能年数は,原則67歳までです。
ただし,67歳までの年数が平均余命の2分の1より短くなる高齢者については,平均余命の2分の1を就労可能年数とします。

 自賠責では上限金額が3000万円となっており,保険会社から提示される賠償額も同じくらいの金額となることが多いですが,弁護士に依頼することで,保険会社からの賠償額を大幅増額して解決できることがあります。
 特に,死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,死亡事故について解決実績が豊富にありますので,お困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:連休中の交通死亡事故に注意

2022-04-28

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成29年から令和3年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,5月は高齢者死者が多くなっています。また,当事者別では四輪車死者,事故類型別では単独事故が多発しています。最高速度違反,一時停止違反による死亡事故も平均と比較して高く,飲酒運転による人身事故も上半期最多となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/20220311point.pdf
 
 ゴールデンウィークをはじめ,帰省,レジャー,買い物等で外出する機会が増えますので,出かける際は無理のない運転計画を立て,スピードを控えるなど安全運転を心がけることが大切です。
 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

【コラム】:5年間の子どもの交通事故死者・重傷者数5530人

2022-03-25

 警察庁は,平成29年から令和3年までの5年間の小学生や幼児の交通事故発生状況を発表し,死者と重傷者が合わせて5530人に上ることが分かりました。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/anzenundou/R4harunoundou_koutsuujikobunseki.pdf
 事故が起きた状況は横断中が最も多く,小学生では7割,幼児では5割を占めています。
 また,法令違反があった場合の内容は,小学生,幼児ともに「飛び出し」が約3割となっています。
 自転車乗車中の児童の死者・重傷者については,時間帯別では16時~17時台が最も多く,学齢別では歩行中と比較すると中・高学年が多くなっています。事故が起きた状況は,出合い頭衝突が7割を超えています。
 警察庁は,令和4年4月6日から同月15日まで実施される春の全国交通安全運動で,子どもと保護者への教育やドライバーへの啓発活動を行います。
 子どもには,横断歩道,歩道橋,信号機を利用すること,横断中も左右をよく見ることなどを繰り返し教えるとともに,大人も信号無視,乱横断をしないなど手本となるよう交通ルールを遵守し,ドライバーは横断歩道前の一時停止の徹底や通学路・住宅街では子どもの飛び出しに備え減速するなど,事故を防ぐためにそれぞれができることをやることが大切です。

 

 では,子どもが交通事故の被害に遭った場合どうすれば良いでしょうか。
 子どもが交通事故に遭った場合も,大人と同じように症状固定日までの治療費や慰謝料等が支払われます。
 また,入院付添費や,幼児や症状により一人での通院が困難な場合は通院付添費が認められることがあります。付き添いのために付添者が仕事を休んだ場合は,付添者の休業損害が支払われる場合もあります。
 その他,長期間の休学等によって進級遅れが生じた際の授業料や補習費,家庭教師,塾の費用等が損害として認められる場合もあります。
 
 後遺障害が認定された場合は,逸失利益が支払われますが,労働能力喪失期間は原則18歳からとなります。大学卒業を前提とする場合は,大学卒業時となります。
 また,基礎収入は,若年労働者(事故時概ね30歳未満)として,全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となっています。
 

 子どもが交通事故の被害に遭ったら,身体が小さい分,受ける衝撃は大きく,死亡事故につながったり,重篤な障害が残ることも多くあります。
 死亡事故や重篤な障害が残った場合は,賠償額が高額となりますので,適正な賠償額を加害者から受け取るためには,実績のある交通事故専門の弁護士が交渉することが不可欠です。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,子どもの交通事故について解決実績が豊富にありますので,子どもの交通事故についてお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:3月は横断中と単独事故が多発

2022-02-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成29年から令和3年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,3月は横断中と単独事故が多発しています。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinntoR4.3.pdf

 横断中の事故は交差点(交差点付近を含む。)内での発生が9割以上,単独事故は規制速度超過によるものが半数以上,単独事故の四輪車死者の半数はシートベルト非着用となっています。
 3月になり日は長くなってきていますが,まだまだ夕方の5時~7時の魔の時間に交通事故が多く発生していますので,引き続き注意が必要です。

 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
 
 また,交差点内や交差点付近で歩行者が横断中に事故に遭う場合,歩行者が横断歩道を横断しているかどうかで過失割合が変わってきます。横断歩道外を横断している場合でも,横断歩道の付近であれば横断歩道通過後なのか横断歩道の手前なのか,それ以外の場所なのかなど,事故態様に応じて過失割合が変わってきますので,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で解決することが非常に重要となります。
 死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,専門的知識と豊富な解決実績のある交通事故に強い弁護士に相談することが必要になります。

【コラム】:愛知県内令和3年年交通事故の特徴

2022-01-28

 警察庁によると,令和3年中の全国の交通事故死者数は2636人となり,これは警察庁が保有する昭和23年からの統計で,5年連続で最少となります。
https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220104001jiko.html
 愛知県内の死者数は117人で,昨年より37人減少し,3年連続でワースト1を回避しました。しかしながら,今なお多くの尊い命が交通事故で失われ,多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいらっしゃいます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/kisyahappyour312.pdf

 

 死者数を年齢層別にみると,65歳以上の高齢者は74人となり,死者数全体の63.2%を占めています。
 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。

 

 また,当事者別,事故類型別にみると,歩行者の横断中の事故が多くなっています。
 歩行者の交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故につながりやすくなります。
 愛知県では,歩行者の交通事故を減少させるため,ドライバーに対しては「横断歩道は歩行者優先」を呼び掛け,歩行者に対しては,自らの命を守るため,手を挙げて道路を渡る意思と感謝を示す「ハンド・アップ運動」を実施しています。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/handup.html
 

 歩行者は,横断歩道上では絶対的に近い保護を受けるので,信号機の設置されていない横断歩道上の事故については,原則として,歩行者の過失を問題とすることはありません。
 しかしながら,車の直前での横断・渋滞車列の間や駐停車車両の陰からの横断,夜間くらい場所における横断,車が高速で走行しているような幹線道路又は交通頻繁な道路の横断の場合には,歩行者としても左右の安全確認義務違反に基づく若干の過失相殺がされることがあります。死亡事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる賠償額が大きく変わってきます。
 歩行者は,横断歩道を横断する際は,手を挙げ,車が止まってもすぐには渡らず,止まってくれた車の対向車も止まっているか,後続の車が追い抜いてこないか等,左右の安全を十分に確認し,安全に渡ることが大切です。

 

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,高齢者や歩行者による交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:年末年始の交通事故

2021-12-24

 愛知県警察によると,令和2年12月23日現在,交通事故による死者数は114人となっており,昨年より37人少なくなっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou211223.pdf

 愛知県内では,例年,12月が交通死亡事故が最も多くなっていますので,年末に向けて,更なる安全運転が求められます。
 特に歩行者の事故が多くなっており,時間帯は17時台が最も多くなっています。夕暮れ時に外を歩く際は,ドライバーから発見されやすいように,明るい服装をしたり,反射材を活用するなど,事故に遭わないよう心掛けることも大切です。
 また,業務中による死亡事故も年間で最多となります。仕事で運転される方は運転にご注意ください。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinnto12gatu.pdf
 では,もし年末年始に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。

 

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

【コラム】:愛知県内の交通事故死者数が100人に達する

2021-11-26

 愛知県警察によると,愛知県内の今年の交通事故死者数が100人に達し,令和3年11月26日時点では102人となっています。亡くなった102人のうち67人が65歳以上の高齢者となっており,約4割が歩行中でした。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou211125.pdf
 過去5年間の分析によると,12月は年間で最も交通死亡事故が発生する月となるため,愛知県警察は,帰宅時間が重なって交通量が増える午後5~7時を「魔の時間」と呼んで,早めのライト点灯や反射材の着用を促しています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinnto12gatu.pdf

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合には,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:11月は横断中の歩行者死者が年間最多

2021-10-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成28年から令和2年までの5年間の月別の横断中の死者数は,11月が最多となっています。また,死者の74.2%は高齢者となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinntoR3.11gatu.pdf

 

 日没前後は,辺りがだんだん暗くなり,視認性が悪い時間帯です。夕方の5時~7時は交通死亡事故が発生しやすい魔の時間とされていますが,11月の点灯時刻の目安はそれよりも早い午後4時となっています。ヘッドライトを早めに点灯し,前車がいない場合はハイビームを活用するなど,視認性を確保することが大切です。

 また,歩行者の方も,ドライバーの方から発見されやすいように,明るい服装を心がけたり,反射材を活用しましょう。夜間に車から歩行者が見える距離は,黒っぽい服装で約26メートル,明るい服装で約38メートル,反射材着用で57メートル以上になります。時速60キロメートルで急ブレーキをかけたときの停止距離は約44メートルといわれていますので,反射材を身につけることで交通事故に遭う可能性を減らすことができます。反射材は服につけるだけでなく,カバンや靴,傘,リストバンドなど,様々な種類がありますので,取り入れやすい物を選んで,活用していただくことができます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/topics/hannshazainoshoukai.html

 

 歩行者と四輪車・単車との事故の過失割合は,歩行者が信号を遵守して横断歩道を横断いる場合,信号機の設置されていない横断歩道を横断している場合は,歩行者に過失はありません。しかしながら,黄信号で横断を開始した場合や,横断歩道以外の場所を横断している場合には,当然,歩行者にも過失が発生します。
 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながり,賠償額が高額となることが多くあります。賠償額が高額となると,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,相手方も過失を主張し,争いになることが少なくありません。

 近年は,自動車側にドライブレコーダーが設置されていることも多くなっていますが,警察や保険会社へのドライブレコーダーの提出は任意となっているため,運転手に不利な状況が録画されている場合は,提出しない人もいます(裁判になれば,裁判所命令で提出義務が生じます)。
 ドライブレコーダーがなく,目撃者もいないと,適正な過失割合で事故の解決をするためには,裁判せざるを得ない場合もあります。裁判となると,専門的知識と経験のある交通事故に強い弁護士に相談することが大切になります。

 

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は、保険会社から相手方:依頼者=0:100と提示されたにも関わらず,依頼者の言い分を根拠付ける資料を分析して主張することで,裁判において,相手方:依頼者=100:0と全面勝訴した事例もあります。過失割合にお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

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