【コラム】:過失割合について(歩行者と自転車との事故 1.横断歩行者の事故 (3)横断歩道外における事故(自転車が車道を進行している場合)ア横断歩道の付近における事故(1))

2018-05-11

 

 

 

 

 

近年,ロードバイクや電動アシスト自転車が普及し,自動車と違い免許が不要で気軽に乗れることから,小さいお子さまからご高齢の方まで,たくさんの方が自転車に乗っています。
自転車とはいえスピードは速いので,歩行者と自転車との事故の場合,衝撃を生身に受け,死亡事故につながることがあります。
死亡事故は,賠償額が高額になるため,1割の過失割合で受け取れる金額が大きく変わります。そのため,適正な過失割合で解決することは非常に重要となります。
事故態様ごとに基本的な過失割合をご紹介していますが,この割合がすべてではなく,速度超過や直近まで被害者に気づかなかったことや,様々な事実で過失割合は修正されます。一つの参考としてご理解いただければと思います。

 

1.横断歩行者の事故
(3)横断歩道外における事故(自転車が車道を進行している場合)
      横断歩道の端から外側に1mないし2m離れた場所や横断歩道が停止車両により閉塞されているときの当該車両の前後は横断歩道と同視してよいから,横断歩道外とは,それ以外の場所をいいます。
      また,歩行者が横断歩道に隣接する自転車横断帯を横断していた場合も,車道上を進行中の自転車との関係では,横断歩道による横断と同視しします。
  ア 横断歩道の付近における事故
        横断歩道の付近とはどの程度の距離範囲というのかについては,当該道路の幅員,付近の状況,交通量等により,通常人ならば道路を横断するに当たって当該横断歩道を利用するであろうと考えられる距離範囲というべきで,画一的に定めることは困難です。
        ただ,おおよその基準を示すとすれば,横断歩道の付近とは,おおむね幅員14m(片側2車線)以上の道路で,交通量が多く,車が高速で走行している道路にあっては,横断歩道の端からおおむね40mないし50mの場所を,それ以外の道路にあっては20mないし30m以内の場所を考えるのが妥当です。
  (ア)信号機の設置されている横断歩道の直近における事故
          信号機の設置されている横断歩道の直近としては,当該信号により規制されるべき距離範囲内を考えればよく,幅員14m(片側2車線)以上の道路で,交通量が多く,車が高速で走行している道路にあっては,横断歩道の端からおおむね10m以内程度を,それ以外の道路にあってはおおむね5m以内程度といえます。
        a 横断歩道通過後
        (a)【71】自転車:赤信号で直進

              歩行者:青信号 ⇒ 歩行者:5  自転車:95
              歩行者:黄信号 ⇒ 歩行者:20 自転車:80
              歩行者:赤信号 ⇒ 歩行者:30 自転車:70
   (b)【72】歩行者:赤信号で横断開始 自転車:黄信号で直進

              歩行者:60 自転車:40
   (c)【73】歩行者:赤信号で横断開始 自転車:青信号で直進

              歩行者:80 自転車:20

 

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