【コラム】:18歳,男性,医学生が死亡した場合
18歳,男性,医学生が交通事故により死亡した場合,どのような損害賠償の種類が請求できるのかを,説明させていただきます。
(1)治療費
救命治療などに要した治療費を請求できます。
(2)葬儀関係費
死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。
しかし,若年でお亡くなりになくなった場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。
(3)死亡慰謝料
2500万円ほどで認定されることが多いです。
(4)逸失利益
死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
大学生の逸失利益は,学生時期,就労時期と段階的に請求していきます。医学生は,学生時期,研修医時期,勤務医時期,開業医時期と段階的に請求していきます。
ア 学生時期
18歳~24歳の学生時期は,アルバイトなどしていない限り,基礎収入が算定できないため,請求することはできません。
イ 研修医時期
①基礎収入
研修医時期は,他の医師と比べて低額の収入ではありますが,属性を医師としない全年齢の平均賃金程度の収入は得られる蓋然性があるとして,基礎収入は648万7100円(平成26年賃金センサス男性・大卒・年齢計)です。
②生活費控除率
45%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
医師資格を取得したはずの25歳から2年間です。18歳から27歳までの9年間から,18歳から25歳までの7年間を控除する必要があります。
27歳-18歳=9年間のライプニッツ係数 7.1078
25歳-18歳=7年間のライプニッツ係数 5.7864
ライプニッツ係数 7.1078-5.7864=1.3214
以上より,逸失利益は,①648万7100円×(1-②0.45)×③1.3214=471万4629円です。
ウ 勤務医時期
①基礎収入
平成26年賃金センサス医師・企業規模計によると,基礎収入は1154万0300円です。
②生活費控除率
45%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
勤務医として10年間仕事をすると想定した場合,18歳から勤務医終期37歳までの19年間から,18歳から勤務医始期27歳までの9年間を控除する必要があります。
37歳-18歳=19年間のライプニッツ係数 12.0853
27歳-18歳=9年間のライプニッツ英数 7.1078
ライプニッツ係数 12.0853-7.1078=4.9775
以上より,逸失利益は,①1154万0300円×(1-②0.45)×③4.9775=3159万3013円です。
エ 開業医時期
①基礎収入
医学生の親が開業医でその事業所得が4000万円である場合,医院を引き継ぐことで同等の所得を得られる蓋然性があるとして,基礎収入は4000万円です。
②生活費控除率
45%です。
③就労可能年数によるライプニッツ係数
67歳まで仕事をすると想定した場合,18歳から開業医終期67歳までの49年間から,18歳から開業医始期37歳までの19年間を控除する必要があります。
67歳-18歳=49年間のライプニッツ係数 18.1687
37歳-18歳=19年間のライプニッツ英数 12.0853
ライプニッツ係数 18.1687-12.0853=6.0834 以上より,逸失利益は,①4000万円×(1-②0.45)×③6.0834=1億3383万4800円です。
オ 小括
したがって,医学生の逸失利益は,合計1億7014万2442円です。
交通死亡事故は賠償額が大きくなるため,弁護士の腕次第で,賠償額に数千万円の違いが生じることがあります。
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