【コラム】:40歳,男性,会社員,大卒,一家の大黒柱が死亡した場合

2016-12-04

40歳,男性,会社員,大卒,一家の大黒柱(被扶養者妻,子2人)が交通事故により死亡した場合,どのような損害賠償の種類が請求できるのかを,説明させていただきます。

(1)治療費
   救命治療などに要した治療費を請求できます。

(2)葬儀関係費
   死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。
   しかし,若くしてお亡くなりになくなった場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。

(3)死亡慰謝料
      2800万円ほどで認定されることが多いです。

(4)逸失利益
       死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
        ①基礎収入
           給与所得者の基礎収入は,原則として事故前年の収入額とします。40歳,男性,会社員,大卒の年収が700万円であれば,基礎収入は700万円です。
         ②生活費控除率
          裁判例は,一家の大黒柱生活費控除率を30~40%で認定することが多いのですが,ⅰ被扶養者が1人の場合は40%,ⅱ被扶養者が2人以上の場合は30%で認定する傾向にあるといえます。
    被扶養者が妻,子2人である場合は,30%です。
     ③就労可能年数によるライプニッツ係数
           67歳-40歳=27年間のライプニッツ係数 14.643
   以上より,逸失利益は,①700万円×(1-②0.3)×③14.643=7175万0700円です。

(5)退職金差額
       退職金が支給されることが確実であった場合,事故死亡時に支給された退職金と,定年時に支給予定の退職金との差額を請求することができます。
   ただし,単に差額を出すのではなく,定年時の退職金を,事故死亡時に早期受給できた利益を考慮する必要があります。この利益は,ライプニッツ係数(現価表)において算定します。
   被害者が40歳,事故死亡時の退職金として1000万円受給,定年時(60歳)に支給予定の退職金が2000万円であった場合について,具体的に説明させていただきます。
   退職金差額は,2000万円-1000万円=1000万円ではありません。
   20年早期受給できた利益を考慮する必要があり,20年のライプニッツ係数(現価表)は,0.3768です。
   そのため,退職金差額は,2000万円×0.3768-1000万円=-246万4000円とマイナスになるため,請求できません。

 

交通死亡事故は賠償額が大きくなるため,弁護士の腕次第で,賠償額に数千万円の違いが生じることがあります。
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