Archive for the ‘コラム’ Category

【コラム】:連休中の交通死亡事故に注意

2022-04-28

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成29年から令和3年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,5月は高齢者死者が多くなっています。また,当事者別では四輪車死者,事故類型別では単独事故が多発しています。最高速度違反,一時停止違反による死亡事故も平均と比較して高く,飲酒運転による人身事故も上半期最多となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/20220311point.pdf
 
 ゴールデンウィークをはじめ,帰省,レジャー,買い物等で外出する機会が増えますので,出かける際は無理のない運転計画を立て,スピードを控えるなど安全運転を心がけることが大切です。
 では,もし連休中に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

【コラム】:5年間の子どもの交通事故死者・重傷者数5530人

2022-03-25

 警察庁は,平成29年から令和3年までの5年間の小学生や幼児の交通事故発生状況を発表し,死者と重傷者が合わせて5530人に上ることが分かりました。
https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/anzen/anzenundou/R4harunoundou_koutsuujikobunseki.pdf
 事故が起きた状況は横断中が最も多く,小学生では7割,幼児では5割を占めています。
 また,法令違反があった場合の内容は,小学生,幼児ともに「飛び出し」が約3割となっています。
 自転車乗車中の児童の死者・重傷者については,時間帯別では16時~17時台が最も多く,学齢別では歩行中と比較すると中・高学年が多くなっています。事故が起きた状況は,出合い頭衝突が7割を超えています。
 警察庁は,令和4年4月6日から同月15日まで実施される春の全国交通安全運動で,子どもと保護者への教育やドライバーへの啓発活動を行います。
 子どもには,横断歩道,歩道橋,信号機を利用すること,横断中も左右をよく見ることなどを繰り返し教えるとともに,大人も信号無視,乱横断をしないなど手本となるよう交通ルールを遵守し,ドライバーは横断歩道前の一時停止の徹底や通学路・住宅街では子どもの飛び出しに備え減速するなど,事故を防ぐためにそれぞれができることをやることが大切です。

 

 では,子どもが交通事故の被害に遭った場合どうすれば良いでしょうか。
 子どもが交通事故に遭った場合も,大人と同じように症状固定日までの治療費や慰謝料等が支払われます。
 また,入院付添費や,幼児や症状により一人での通院が困難な場合は通院付添費が認められることがあります。付き添いのために付添者が仕事を休んだ場合は,付添者の休業損害が支払われる場合もあります。
 その他,長期間の休学等によって進級遅れが生じた際の授業料や補習費,家庭教師,塾の費用等が損害として認められる場合もあります。
 
 後遺障害が認定された場合は,逸失利益が支払われますが,労働能力喪失期間は原則18歳からとなります。大学卒業を前提とする場合は,大学卒業時となります。
 また,基礎収入は,若年労働者(事故時概ね30歳未満)として,全年齢平均の賃金センサスを用いるのが原則となっています。
 

 子どもが交通事故の被害に遭ったら,身体が小さい分,受ける衝撃は大きく,死亡事故につながったり,重篤な障害が残ることも多くあります。
 死亡事故や重篤な障害が残った場合は,賠償額が高額となりますので,適正な賠償額を加害者から受け取るためには,実績のある交通事故専門の弁護士が交渉することが不可欠です。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,子どもの交通事故について解決実績が豊富にありますので,子どもの交通事故についてお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:3月は横断中と単独事故が多発

2022-02-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成29年から令和3年までの5年間の交通死亡事故等を分析した結果,3月は横断中と単独事故が多発しています。
 https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinntoR4.3.pdf

 横断中の事故は交差点(交差点付近を含む。)内での発生が9割以上,単独事故は規制速度超過によるものが半数以上,単独事故の四輪車死者の半数はシートベルト非着用となっています。
 3月になり日は長くなってきていますが,まだまだ夕方の5時~7時の魔の時間に交通事故が多く発生していますので,引き続き注意が必要です。

 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
 
 また,交差点内や交差点付近で歩行者が横断中に事故に遭う場合,歩行者が横断歩道を横断しているかどうかで過失割合が変わってきます。横断歩道外を横断している場合でも,横断歩道の付近であれば横断歩道通過後なのか横断歩道の手前なのか,それ以外の場所なのかなど,事故態様に応じて過失割合が変わってきますので,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で解決することが非常に重要となります。
 死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,専門的知識と豊富な解決実績のある交通事故に強い弁護士に相談することが必要になります。

【コラム】:愛知県内令和3年年交通事故の特徴

2022-01-28

 警察庁によると,令和3年中の全国の交通事故死者数は2636人となり,これは警察庁が保有する昭和23年からの統計で,5年連続で最少となります。
https://www.npa.go.jp/news/release/2022/20220104001jiko.html
 愛知県内の死者数は117人で,昨年より37人減少し,3年連続でワースト1を回避しました。しかしながら,今なお多くの尊い命が交通事故で失われ,多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいらっしゃいます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/kisyahappyour312.pdf

 

 死者数を年齢層別にみると,65歳以上の高齢者は74人となり,死者数全体の63.2%を占めています。
 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。

 

 また,当事者別,事故類型別にみると,歩行者の横断中の事故が多くなっています。
 歩行者の交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故につながりやすくなります。
 愛知県では,歩行者の交通事故を減少させるため,ドライバーに対しては「横断歩道は歩行者優先」を呼び掛け,歩行者に対しては,自らの命を守るため,手を挙げて道路を渡る意思と感謝を示す「ハンド・アップ運動」を実施しています。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/handup.html
 

 歩行者は,横断歩道上では絶対的に近い保護を受けるので,信号機の設置されていない横断歩道上の事故については,原則として,歩行者の過失を問題とすることはありません。
 しかしながら,車の直前での横断・渋滞車列の間や駐停車車両の陰からの横断,夜間くらい場所における横断,車が高速で走行しているような幹線道路又は交通頻繁な道路の横断の場合には,歩行者としても左右の安全確認義務違反に基づく若干の過失相殺がされることがあります。死亡事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる賠償額が大きく変わってきます。
 歩行者は,横断歩道を横断する際は,手を挙げ,車が止まってもすぐには渡らず,止まってくれた車の対向車も止まっているか,後続の車が追い抜いてこないか等,左右の安全を十分に確認し,安全に渡ることが大切です。

 

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は,高齢者や歩行者による交通死亡事故の解決実績が豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:年末年始の交通事故

2021-12-24

 愛知県警察によると,令和2年12月23日現在,交通事故による死者数は114人となっており,昨年より37人少なくなっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou211223.pdf

 愛知県内では,例年,12月が交通死亡事故が最も多くなっていますので,年末に向けて,更なる安全運転が求められます。
 特に歩行者の事故が多くなっており,時間帯は17時台が最も多くなっています。夕暮れ時に外を歩く際は,ドライバーから発見されやすいように,明るい服装をしたり,反射材を活用するなど,事故に遭わないよう心掛けることも大切です。
 また,業務中による死亡事故も年間で最多となります。仕事で運転される方は運転にご注意ください。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinnto12gatu.pdf
 では,もし年末年始に交通事故の被害に遭ったら,どうすれば良いでしょうか。

 

 交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費等でお困りになる危険を回避します。
 ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。

【コラム】:愛知県内の交通事故死者数が100人に達する

2021-11-26

 愛知県警察によると,愛知県内の今年の交通事故死者数が100人に達し,令和3年11月26日時点では102人となっています。亡くなった102人のうち67人が65歳以上の高齢者となっており,約4割が歩行中でした。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou211125.pdf
 過去5年間の分析によると,12月は年間で最も交通死亡事故が発生する月となるため,愛知県警察は,帰宅時間が重なって交通量が増える午後5~7時を「魔の時間」と呼んで,早めのライト点灯や反射材の着用を促しています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinnto12gatu.pdf

 高齢者が交通死亡事故の被害に遭われた場合,損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方など様々な方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,交通事故で一命を取りとめたものの,一定期間,入院・通院した後に亡くなられる場合もあります。このように,入院・通院後に亡くなられた場合には,治療費,葬儀費用,死亡逸失利益,慰謝料のほかに,入院・通院に伴う慰謝料等も当然に請求することができます。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,高齢者の交通事故の解決実績が豊富にありますので,高齢者の交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:11月は横断中の歩行者死者が年間最多

2021-10-25

 愛知県警察が作成している「交通事故防止のPOINT」によると,平成28年から令和2年までの5年間の月別の横断中の死者数は,11月が最多となっています。また,死者の74.2%は高齢者となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/zikobousinopoinntoR3.11gatu.pdf

 

 日没前後は,辺りがだんだん暗くなり,視認性が悪い時間帯です。夕方の5時~7時は交通死亡事故が発生しやすい魔の時間とされていますが,11月の点灯時刻の目安はそれよりも早い午後4時となっています。ヘッドライトを早めに点灯し,前車がいない場合はハイビームを活用するなど,視認性を確保することが大切です。

 また,歩行者の方も,ドライバーの方から発見されやすいように,明るい服装を心がけたり,反射材を活用しましょう。夜間に車から歩行者が見える距離は,黒っぽい服装で約26メートル,明るい服装で約38メートル,反射材着用で57メートル以上になります。時速60キロメートルで急ブレーキをかけたときの停止距離は約44メートルといわれていますので,反射材を身につけることで交通事故に遭う可能性を減らすことができます。反射材は服につけるだけでなく,カバンや靴,傘,リストバンドなど,様々な種類がありますので,取り入れやすい物を選んで,活用していただくことができます。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/topics/hannshazainoshoukai.html

 

 歩行者と四輪車・単車との事故の過失割合は,歩行者が信号を遵守して横断歩道を横断いる場合,信号機の設置されていない横断歩道を横断している場合は,歩行者に過失はありません。しかしながら,黄信号で横断を開始した場合や,横断歩道以外の場所を横断している場合には,当然,歩行者にも過失が発生します。
 歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながり,賠償額が高額となることが多くあります。賠償額が高額となると,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,相手方も過失を主張し,争いになることが少なくありません。

 近年は,自動車側にドライブレコーダーが設置されていることも多くなっていますが,警察や保険会社へのドライブレコーダーの提出は任意となっているため,運転手に不利な状況が録画されている場合は,提出しない人もいます(裁判になれば,裁判所命令で提出義務が生じます)。
 ドライブレコーダーがなく,目撃者もいないと,適正な過失割合で事故の解決をするためには,裁判せざるを得ない場合もあります。裁判となると,専門的知識と経験のある交通事故に強い弁護士に相談することが大切になります。

 

 弁護士法人しまかぜ法律事務所は、保険会社から相手方:依頼者=0:100と提示されたにも関わらず,依頼者の言い分を根拠付ける資料を分析して主張することで,裁判において,相手方:依頼者=100:0と全面勝訴した事例もあります。過失割合にお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その1 休業損害(7)

2021-10-11

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その1 休業損害
4.その他
(1)将来の休業に伴う損害
症状固定時38歳の被害者につき,50歳以上で疼痛がさらに増強したときは人工関節置換術を行う必要があり,同手術により発生すると考えられる損害についても予め請求する必要があるとして,現在の収入を基礎に,通院予定期間6ヶ月分の休業損害を認めた。
(2)事故とは相当因果関係のない原因で症状固定前に死亡した事例
事故の6ヶ月半後に事故とは相当因果関係のない喀血による窒息が原因で死亡した場合に,事故時点において被害者は健康であり,その死亡が近い将来において客観的に予測されていたなどの特段の事情がないとして,事故による骨折の治癒が予測される期間,賃金センサスを基礎に,休業損害を認めた。
(3)間接被害者に関する事例
ア 役員等が受傷した場合の損害
・ 会社役員が傷害を受け,不就労の間も会社が役員報酬を支払った場合に,支払った報酬のうち労務対価部分につき,不就労の割合に応じた分を会社の損害として認めた。
・ 受傷した代表取締役が全額出資して設立し,受傷者本人と取締役であるその妻以外に実際に業務に従事している者がいない空調設備会社につき,受傷者本人が医師から現場作業を禁止された事故後約3ヶ月の間に会社が支出した現場作業の外注費を会社の損害として認めた。
・ 代表者が受傷した航空測量会社につき,事故前年は赤字であるが,技術者が代表者1名,従業員は2名で,航空測量には技術者が必要で技術者抜きでは営業も成り立たないとして,事故による現実の売上の減少があることなどから,代表者の役員報酬減額分の休業損害と別に,会社の休業損害を認めた。
・ 中古住宅をリフォームして販売する会社を一人で営む代表者につき,会社の機関として代替性がなく,会社と経済的に一体をなす関係にあるとして,代表者が事故後約3ヶ月間業務に従事できなかった間に,会社が他の会社に外注し支出した工事費用を会社の損害と認めた。
イ 受傷した被害者の近親者の損害
・ 事故により受傷した被害者の父母につき,その経営する浴場を休業した場合に,確定申告の年収をもとに休業損害を認めた。
・ 事故により死亡した被害者の娘(ツアーコンダクター)につき,英語学校役員に同行して東南アジアの現地関係者を紹介し学校開設交渉を整える等の業務を含む1年間の学校開設援助業務の依頼を受けていたところ,出発予定日の3日前に母が死亡して役員に同行できず契約されたことを事故による損害と認めた。しかしながら,業務が1年間遂行されることがほぼ確実であるとまではいえず,業務計画の頓挫には娘の個人的な体調不良の影響もるということで,半額を損害とした。
・ 事故により死亡した被害者の次女(ジャーナリスト)につき,葬儀等から雑誌記事の休筆や執筆者を後退せざるを得なかった場合に,次女が経営する会社の減収分もその実質は次女個人の損害として評価し得るとし,事故直後の期間(1,2週間)に限って事故と相当因果関係があるとした。
・ 居眠り運転の車両が集団登校中の小学生らに衝突した事例につき,歩合制給与の引越業の会社に勤務していた父親の減収分について,捜査機関の取り調べや刑事裁判への出席は必要であるとして,減収が休業によるものか仕事の減少による出来高低下のためかは明らかではないものの,事故前年からの減収額の8割を認めた。
・ 両親経営の料理店で看板娘として手伝いをしていた女児の死亡事故後,約3.7ヶ月店を休業した両親につき,火災整理のため休業したことがあるから,その全てを事故と相当因果関係があるとは認められないが,両親の悲しみは深く,相応の期間の休業はやむを得なかったとして,死亡日から翌日末まで1.2ヶ月分の固定経費分と店舗の休業補償分を損害と認めた。

 

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,近親者の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:消極損害その1 休業損害(6)

2021-10-04

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

消極損害その1 休業損害
3.無職者
(2)学生,生徒等
原則として認められませんが,アルバイト等,収入があれば認められます。
また,就職遅れによる損害は,裁判では多く認められています。基礎収入は,就職が内定している場合はその就職先での給与額,内定していない場合は賃金センサスを用いて算出されます。

・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ卒業後に就労したと認められるとして,症状固定まで就労不可能であったとして,賃金センサス高卒年齢別平均を基礎に,年度ごとに休業損害を算定した。なお,症状固定日までの間に結婚しているが,家事労働を含めて算定している。
・ 短大生につき,事故後就職活動が行えなかったことなどから1年間の就職の遅れが生じた場合に,賃金センサス女性短大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 大学生につき,事故により留年し1年半就職遅れが生じた場合に,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,就職遅れの期間分認められた。
・ 大学浪人生につき,事故の翌年大学に入学した場合に,事故がなければ事故の年に入学していたものと認められるとして,賃金センサス男性大卒20歳から24歳平均を基礎に,1年分を認めた。
・ 着付けの免許をとるため専門学校へ通いながら店員アルバイトをしていた被害者につき,事故がなければ免許を取れたと認められるが,他方アルバイトの収入が月額7万円であったことから,賃金センサス女性年齢別平均の8割を基礎に29ヶ月分認めた。
・ 就職が内定していた修士課程後期在学生につき,事故により就職内定が取り消され,症状固定まで就業できなかった場合に,就職予定日から症状固定まで2年6ヶ月余の間,就職内定先からの回答による給与推定額を基礎に認めた。
・ 高校3年生につき,事故に遭わなければ大学に入学・卒業していた蓋然性が高いとし,賃金センサス女性大卒20歳から24歳平均を基礎に,大学卒業年の4月1日から症状固定までを認めた。
・ 大学生につき,大学3年生になったばかりの時期で就職活動のために直ちにバイトを自粛しなければならない状況にはなかった等として,事故前日までの102日間の実収入を基礎に,症状固定まで認めた。
・ 専門学校生につき,事故がなければ翌々年4月から就労開始予定時から症状固定まで約40月分を認めた。
・ 高校生につき,事故当時のアルバイト収入及び事故後進学した大学の同級生のアルバイト収入を参考に,月額6万2000円を基礎に,症状固定まで認めた。

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,学生のアルバイト収入や,事故により就職が遅れた場合の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:秋の全国交通安全運動実施中

2021-09-27

 令和3年9月21日から同月30日まで,秋の全国交通安全運動が実施されています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/news/koutsu-s/undoaki-r0109.html
 4つの重点運動に沿った交通安全運動を行い,交通事故の防止を図っています。

■子供と高齢者を始めとする歩行者の安全の確保
 歩行者が横断中の交通事故が多発しています。歩行者も交通ルール-を守ることが大切です。交差点は,信号を守り,横断歩道でも走行車両がないことを確認してから渡りましょう。

■夕暮れ時と夜間の事故防止と歩行者等の保護など安全運転意識の向上
 秋になると,日没時間が早まり,夕暮れ時や夜間の交通事故が多発する傾向にあります。
 反射材を活用したり,自動車や自転車の早めのライト点灯を心掛けましょう。
 また,横断歩道は歩行者優先で,運転者には横断歩道手前での減速義務や停止義務があります。歩行者や他の車両に対する「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持って運転しましょう。

■自転車の安全確保と交通ルール遵守の徹底
 ライフスタイルの変化に伴い通勤・通学や配達を目的とする自転車利用のニーズが高まっているため,自転車利用中の交通事故の発生が懸念されます。自転車利用中の交通事故を防ぐために,自転車安全利用五則を守りましょう。
 1 自転車は,車道が原則,歩道は例外
 2 車道は左側を通行する
 3 歩道は歩行者優先で,車道寄りを徐行する
 4 安全ルールを守る
(飲酒運転・二人乗り・並進の禁止,夜間はライトを点灯,交差点での信号遵守と一時停止・安全確認)
 5 子供はヘルメットを着用する
※ 愛知県では,令和3年10月1日より,自転車利用者の乗車用ヘルメット着用が全年齢で努力義務となります。
https://www.pref.aichi.jp/soshiki/kenmin-anzen/aichi-cycle.html

■飲酒運転等の悪質・危険な運転の根絶
 飲酒運転やあおり運転(妨害運転)は,極めて悪質・危険な行為です。
 運転する時は,「思いやり・ゆずり合い」の気持ちを持った運転を心がけることが大切です。

■歩行者や自転車利用者の事故の特徴
 歩行者や自転車利用者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
 死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
 ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
 逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが非常に重要となります。
 
 また,歩行者や自転車利用者の事故の場合,過失割合が問題になることも多いですが,死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,適正な過失割合で解決することが非常に重要となります。
 自動車との事故の場合,自動車にドライブレコーダーが搭載されていれば事故状況が明らかになりますが,自転車同士,自転車と歩行者の事故の場合は,事故状況に争いが生じることも少なくありません。

 弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で事故の解決をしています。
 交通死亡事故や重篤な後遺障害からむち打ちまであらゆる案件の豊富な解決実績がありますので,交通事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。

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