【コラム】愛知県内の交通事故死者数が100人に達する
愛知県警察によると,令和5年9月11日,愛知県内の今年の交通事故死者数が100人に達しました。昨年に比べ29日早く,愛知県警察では警戒を呼び掛けています。
死者100人のうち,歩行者が38人と最多となっており,次いで四輪車25人,自転車16人,自動二輪13人,原付7人,その他1名となっています。また,年齢別では,65歳以上の高齢者が49人で,約半数となっています。
https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/jikonippou/documents/koutsuushibouzikonippou230913.pdf
歩行者が被害に遭う交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数(67歳)までの年数が長いほど逸失利益は高額となります。
ただし,67歳を超えている方や67歳までの年数が簡易生命表の平均余命の2分の1よりも短くなる被害者については,原則として,平均余命の2分の1の年数となります。
逸失利益は,一般的に,死亡事故や後遺障害の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算定することが大切です。
また,交差点内や交差点付近で歩行者が横断中に事故に遭う場合,歩行者が横断歩道を横断しているかどうかで過失割合が変わってきます。
歩行者は,横断歩道の付近においては,横断歩道によって道路を横断しなければならないとされています。一方,車は,横断歩道により横断している歩行者がある場合は,当該横断歩道の直前で一時停止し,かつ,その通行を妨げないようにしなければならないとされており,横断歩道により道路を横断する歩行者に対しては強い法的保護が与えられています。
また,横断歩道外を横断している場合でも,おおむね横断歩道の端から外側に1mないし2m居ないの横断や,横断歩道が停止車両により閉塞されているときの当該車両の直前・直後の横断は横断歩道による横断と同視される可能性が高いです。
それ以外の場所でおいては,横断歩道の付近(幹線道路であれば横断歩道の端から外側におおむね40mないし50m以内,それ以外の道路では20mないし30m以内)であれば横断歩道通過後なのか横断歩道の手前なのかによって過失割合が変わってきます。
歩行者の事故の場合,事故態様によって過失割合が変わってきますので,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で解決することも非常に大切となります。
死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,過失割合がたとえ1割の違いであっても,賠償額が大きく変わってきますので,専門的知識と豊富な解決実績のある交通事故に強い弁護士に相談することが重要になります。