【コラム】:平成30年における交通死亡事故の特徴

2019-02-18

警察庁は,平成30年における交通死亡事故の特徴を公表しました。
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/koutsuu/jiko/H30sibou_tokucyo.pdf
平成30年における交通死亡事故の特徴として,①高齢ドライバーによる死亡事故の増加,②死亡者のおよそ半数が歩行中と自転車乗車中であったことが挙げられています。

①高齢ドライバーによる死亡事故の増加
 交通事故死者数は減少傾向にありますが,特に75歳以上・80歳以上の高齢運転者による死亡事故件数が,75歳以上では前年に比べ42件増えて460件となり,そのうち80歳以上の事故が17件増えて252件となっています。
 事故の原因は,ブレーキとアクセルを踏み間違えるなどの「操作不適」や,集中力や注意力が低下した状態で運転を行う「漫然運転」が多かったということです。

②死亡者のおよそ半数が歩行中と自転車乗車中
 死亡者のおよそ半数が歩行中と自転車乗車中で,うち約7割が高齢者となっています。
 高齢者の歩行中の事故では約6割が横断違反等の違反により発生しており,自転車乗車中の事故では約8割が安全確認義務違反等の違反により発生しています。

 高齢者の死亡事故で損害賠償を請求する際に問題となるのが,死亡逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)です。
 高齢者といっても,仕事をされている方,家事従事者の方,年金を受給して生活されている方などさまざまな方がいますので,何を基準に死亡逸失利益を算定するかが争点になることが多くあります。
 死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となりますので,適正な算定方法で算出することが非常に重要となります。
 なお,定年退職直後や生活保護を受給していた等の理由で事故当時は無職であっても,再就職の意欲と蓋然性があれば,死亡逸失利益を請求することができる場合もあります。

 また,事故の目撃者がいない場合,どちらの信号無視であるか主張が対立することもあり,示談による解決が難しくなることもあります。
 死亡事故の場合は賠償額が大きくなりますので,過失割合がたとえ1割の違いであっても,受け取れる金額が大きく変わってきますので,適正な過失割合で解決をすることが大切です。

 しまかぜ法律事務所では,事故の現場図を分析したり,正確な事故態様を明らかにし,適正な過失割合で事故の解決をしています。
 また,高齢者の交通事故の解決実績も豊富にありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。