【コラム】:消極損害その1 休業損害(1)

2021-08-10

 交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
 積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
 請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。

 

消極損害その1 休業損害
 休業損害とは,交通事故の被害者が,治療や療養のために休業したことによって得ることができなくなった収入・利益の損害のことです。
 死亡事故では死亡に至るまでの休業損害を請求できます。

1.有職者
(1)給与所得者
   事故前3か月の総支給額(社会保険料などを控除しない)を基礎収入とし,90日で割った日額に休業日数を乗じた金額が基本の算定方法となります。
請求するには,勤務先に記載してもらった休業損害証明書(休業日,事故前3か月の給与支払い状況等),事故前年の源泉徴収票を提出する必要があります。
ア 基礎収入の算定・賃金項目についての事例
入社して間もない場合や内定中の場合は,雇用契約書に記載されている基本給をもとに基礎収入を算出することがあります。
複数の職場で勤務している場合,それぞれの職場で休業があれば,職場ごとに休業損害を請求することができます。
イ 有給休暇
有給休暇を使った場合は現実の収入減はありませんが,有給休暇は財産的価値を有すべき権利であって,それが本件事故により費消させられたため,有給の財産的価値についても休業損害として請求できます。
なお,積立休暇についても,有給休暇と同様に財産的価値があるものと認められています。

 

 愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
 交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
 特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
 しまかぜ法律事務所では,様々な休業損害の請求事例がありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。