【コラム】:過失割合について(信号機の設置されている横断歩道上の事故(1)歩行者×直進車 横断中の信号変更あり 安全地帯なし)

2017-07-07

 

歩行者と車の事故の場合,歩行者は衝突の衝撃を生身で受けるため,死亡事故につながることがあります。
死亡事故は,賠償額が高額になるため,1割の過失割合で受け取れる金額が大きく変わります。そのため,適正な過失割合で解決することは非常に重要となります。
事故態様ごとに基本的な過失割合をご紹介していますが,この割合がすべてではなく,速度超過や直近まで被害者に気づかなかったことや,様々な事実で過失割合は修正されます。一つの参考としてご理解いただければと思います。

1.信号機の設置されている横断歩道上の事故
(1)歩行者と直進車との事故
      歩行者は,信号機の表示する信号に従わなければいけませんので,過失割合は信号表示に応じて決定されます。
 イ 横断中の信号変更あり(安全地帯のない場合)
 【6】歩行者:青信号で横断開始,その後赤信号になった場合,車:赤信号で進入


    歩行者:車=0:100
      歩行者は,黄信号に変わった時点で,速やかに横断を終わるか,横断をやめて引き返さなければならないので,歩行者にも過失がないとは言い切れません。しかし,赤信号で進行した車の過失の方が極めて大きいので,歩行者保護の見地から,原則として過失相殺しません。

 【7】歩行者:赤信号で横断開始,その後青信号になった場合,車:赤信号で進入


    歩行者:車=10:90
      歩行者は,赤信号で横断してはいけませんが,衝突時には青信号に変わっていて,横断が禁止される状況にはなくなっていることを考慮して,10%です。

 【8】歩行者:青信号で横断開始,その後赤信号になった場合,車:青信号で進入


    歩行者:車=20:80
      歩行者は,黄信号に変わった時点で,速やかに横断を終わるか,横断をやめて引き返さなければならないので,歩行者の過失はさほど大きくはなく,20%です。
         
 【9】歩行者:黄信号で横断開始,その後赤信号になった場合,車:青信号で進入


   歩行者:車=30:70
       歩行者は,黄信号の場合には,道路の横断を始めてはならないから,上記【8】よりも過失は大きく,30%です。
       

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