【コラム】:過失割合について(信号機の設置されている横断歩道上の事故(1)歩行者×右左折車 横断中の信号変更なし(2))

2017-08-04

 

歩行者と車の事故の場合,歩行者は衝突の衝撃を生身で受けるため,死亡事故につながることがあります。
死亡事故は,賠償額が高額になるため,1割の過失割合で受け取れる金額が大きく変わります。そのため,適正な過失割合で解決することは非常に重要となります。
事故態様ごとに基本的な過失割合をご紹介していますが,この割合がすべてではなく,速度超過や直近まで被害者に気づかなかったことや,様々な事実で過失割合は修正されます。一つの参考としてご理解いただければと思います。

 

1.信号機の設置されている横断歩道上の事故
(2)歩行者と右左折車との事故
      歩行者は,信号機の表示する信号に従わなければいけませんので,過失割合は信号表示に応じて決定されます。
 ア 横断中の信号変更なし
 【15】歩行者:黄信号で横断開始,車:黄信号で進入

          歩行者:車=20:80
          車は,黄信号の場合には,黄信号が表示された時点で所定の停止位置に近接しているため安全に停止することができないときを除き,本来交差点に進入してはいけません。しかし,交通量の多い道路では,黄信号の時間でないと右折できない場合もあるため,一概に黄信号での進入を絶対的に不当とみることもできません。そこで,黄信号で横断を開始した歩行者の過失,右左折車の発見可能性,回避可能性等を考慮して,歩行者の過失を20%としています。

 【16】歩行者:赤信号で横断開始,車:黄信号で進入


          歩行者:車=30:70
          歩行者は,赤信号の場合には道路を横断してはいけませんが,交差道路の信号がまだ青信号に変わっていないことから,赤信号で横断を開始する歩行者もしばしば見られます。赤信号を無視した歩行者の過失は少なくありませんが,右左折車は,このような歩行者がいることを予見し得ますし,右左折車が一時停止,徐行又は相当な減速をしているため,発見も容易で衝突を避けられることから,歩行者の過失を30%としています。
         
 【17】歩行者:赤信号で横断開始,車:赤信号で進入


          歩行者:車=20:80
          赤信号の場合には,歩行者は横断してはならず,車は所定の停止位置を越えて進行してはなりません。赤信号に違反した車の過失は非常に大きく,歩行者保護の見地から歩行者の過失を20%としています。

 

 

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