【コラム】:22歳,男性,会社役員,高卒,一家の大黒柱が死亡した場合

2016-11-14

22歳,男性,会社役員,高卒,一家の大黒柱(被扶養者妻,子1人)が交通事故により死亡した場合,どのような損害賠償の種類が請求できるのかを,説明させていただきます。

(1)治療費
   救命治療などに要した治療費を請求できます。

(2)葬儀関係費
   死亡事故がなくても将来的にはいずれ必要になってくるため,全額ではなく150万円程度が認定されることが多いです。
   しかし,若年でお亡くなりになくなった場合は,はるかに遠い将来に要する葬儀を考慮する必要性が低いため,150万円以上で認定されます。

(3)死亡慰謝料
      2800万円ほどで認定されることが多いです。

(4)逸失利益
       死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定します。
        ①基礎収入
           役員報酬には,Ⅰ労務対価部分と,Ⅱ利益配当部分の性格があります。
           会社役員が死亡した場合は,Ⅰ労務対価部分だけでなく,Ⅱ利益配当部分も失うことから,役員報酬全額が基礎収入となりそうですが,多くの裁判例は,Ⅰ労務対価部分のみ基礎収入として認定しています(最判昭43・8・2判時530・35)。
    もっとも,小規模会社や,サラリーマン役員など,役員報酬の性格が,Ⅰ労務対価が100%であると認定される場合は,役員報酬全額が基礎収入となります。
          被害者が実際に労務を行い,役員報酬が500万円と高額ではなく,従業員が数名と小規模であった場合,役員報酬全額が労務対価であって基礎収入です。
         ②生活費控除率
           裁判例は,一家の大黒柱生活費控除率を30~40%で認定することが多いのですが,ⅰ被扶養者が1人の場合は40%,ⅱ被扶養者が2人以上の場合は30%で認定する傾向にあるといえます。
    被扶養者が妻,子1人である場合は,30%です。
     ③就労可能年数によるライプニッツ係数
           67歳-22歳=45年間のライプニッツ係数 17.7741
   以上より,逸失利益は,①500万円×(1-②0.3)×③17.7741=6220万9350円です。

 

交通死亡事故は賠償額が大きくなるため,弁護士の腕次第で,賠償額に数千万円の違いが生じることがあります。
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