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【コラム】:消極損害その1 休業損害(5)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
3.無職者
(1)失業者
収入がなければ休業損害は生じませんが,労働能力及び労働意欲があり,就労の蓋然性があるものは認められます。例えば,就職が内定している場合,就職活動中である場合は認められやすい傾向があります。
基礎収入は,平均賃金より下回ることが多いですが,退職前の会社の年収や,内定している会社の年収が認められることもあります。
・ 前事故で無職になったスタイリスト・デザイナーにつき,本件事故直前には就労可能の程度まで前事故に起因する障害が回復しており,就職活動をしていた矢先の事故であったことから,賃金センサス女性全年齢の8割を基礎収入として算定した。
・ アルバイトを退職して休職中の被害者につき,退職した翌日に事故に遭ったことなどの事情から,退職前のアルバイト収入を基礎として算定した。
・ 定年退職後,雇用保険受給中の被害者につき,雇用保険受給期間満了後は退職会社に再雇用される可能性があったとして,期間満了後から症状固定まで,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳を基礎として算定した。
・ 元大工につき,稼働先を探していたことなどから,大工として稼働する意思と能力があり,専門技術性に照らし後進の指導も含めて稼働先が見つかる可能性も十分あったとして,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳の8割を基礎として算定した。
・ 離職して積極的に就職先を探していたアルバイト中の被害者につき,事故前年の給与収入額を基礎に,症状固定までの期間から職を得られるまでの相当期間90日を控除した期間が認められた。
・ 著名私立大学卒業後,米国留学をしてMBAの資格を有する被害者につき,事故前に離職していたが,事故直前に就職先が内定しており,その会社から年俸,成果報酬ボーナス等の内諾を得ていたことから,その年俸を基礎に事故日から2ヶ月間は100%,その後3ヶ月間は60%,その後症状固定まで30%が認められた。
・ 約1年半前に運送業を廃業後無職の被害者につき,具体的な就職話があり健康で就業意欲もあったこと,休職期間等を考慮して,事故から3ヶ月後には運転手の仕事に就く蓋然性が高かったとし,賃金センサス男性学歴計60歳から64歳の7割を基礎として算定した。
・ 事故前に就職を申し込んでいた会社から事故後に採用の通知を受けた被害者につき,治療期間中に就労を開始したが10日で受傷部の痛みのために休職し,そのまま退職していること等から,会社から支給される予定だった給与を基礎として算定し,就労により得た給与を控除して認められた。
・ 前事故で高次脳機能障害の被害者につき,本件事故当時は職業訓練を受け事故の約3週間後から障害者雇用枠で就職予定であったが,本件事故により障害者雇用枠で就職する機会を逃し,また,受傷後歩行障害により終了できない状態にあったとして,就職後得られたであろう賃金を基礎として算定した。
・ 職業訓練生兼短期アルバイトにつき,事故翌月に職業訓練が終了した後の就職先は未定で,直ちに就職できた可能性は低いこと,事故後に就業して賃金を得ていたこと等を考慮し,事故前の勤務先における年収や年齢等から,賃金センサス男性学歴計全年齢の約6割強を基礎として算定した。
・ 就労による収入を得ていなかった家業手伝いの被害者につき,相当程度の就労の意欲があったことから,事故発生1年後以降は就労する蓋然性があったとして,同日から症状固定までを休業期間としたが,若年であり就労する職種や労働内容に具体的なみとおしがあったとは認められないため,賃金センサス男女計学歴計18歳から19歳を基礎として算定した。
・ 無職につき,事故の4ヶ月前までは飲食店を自営しており閉店した理由は不景気であったこと,その後就職した会社を1ヶ月で辞めた理由も労働能力とは必ずしも関係がなかったことから,既存障害があったとしても休業損害を観念し得ないほど労働能力が低下していたとはいえないとした上で,事故の直前まで最終書に向けてハローワークに通い面接に参加するなど勤労意欲があったことから,直前の会社での月額賃金を基礎として,症状固定までの期間から職を得られるまでの相当期間90日を控除した期間が認められた。
・ 退職後1ヶ月の休職中の被害者につき,退職前の収入を基礎として算定した。
・ 一人暮らしで休職中の被害者につき,事故前は派遣社員として就労していたが,資格試験の勉強のために派遣社員を退職し,週末は実家に戻り,高齢の母の世話及び重度知的障害を有する弟の介護を行っていたことから就労の蓋然性があったとして,被害者の労働を収入に評価し,賃金センサス女性学歴計全年齢平均の50%を基礎として,事故日から症状固定日までの412日間について50%労働制限として,認められた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,失業者の休業損害は,労働能力,労働意欲,就労の蓋然性をを証明するために,どのような資料を揃える必要があるかアドバイスさせていただき,適正な休業損害を請求しています。失業者の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(4)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
2.家事従事者
家事従事者とは,家族のために料理,洗濯,掃除等の家事労働を行う人のことで,年齢・性別を問いません。両親のために家事をする子供や内縁の夫のために家事をする内縁の妻も,家事従事者となります。
家事労働の対価として報酬は発生しませんが,最高裁判所は,家事労働は財産上の利益を生ずるものであって,これを金銭的に評価することは可能であり,負傷のため家事労働に従事することができなかった期間は,財産上の損害を被ったものというべきであると,家事従事者の休業損害を認めています(最判昭50.7.8日 交民8・4・905)。
家事従事者の休業損害の計算方法は,自賠責保険基準では、基礎収入を6100円(令和2年4月1日より前に発生した事故は5700円)として,基礎収入×休業日数で計算します。
弁護士基準(裁判基準)では,賃金センサスの女子全年齢平均賃金の年収を基礎収入にします(令和元年は388万0100円,日額1万0630円)。計算方法は,基礎収入日額×休業日数(入・通院日数とされることが多い)と,主婦業がどの程度制限されたかで段階的に請求する逓減方式(例:事故から1ヶ月間は入院で100%,2ヶ月~3ヶ月は主婦業が80%制限,4~5ヶ月は60%制限,6~7ヶ月は40%など)のいずれかになります。
兼業主婦(主夫)については,現実の収入額と賃金センサスの女子全年齢平均賃金のいずれか高い方を基礎として算出します。
(1)認定例
・ 主婦につき,事故により家事ができなかった場合に,その期間の家政婦雇用費を認めた。
・ 妊娠中の専業主婦につき,出産のため入院した8日間を除き,受傷日から出産のための入院の前日まで100%,退院の翌日から90日間は60%,その後症状固定までは30%が認められた。
・ 事故前からうつ病で通院し睡眠導入剤の処方を受けていた主婦につき,心身健康な専業主婦であることを前提とする賃金センサスによる額を基準とはできないとの加害者主張を採用せず,賃金センサスの女子全年齢平均賃金が認められた。
・ 聴覚障害者である主婦につき,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,入院を含めた当初半年は100%,その余は50%が認められた。
・ 夫が医療保護入院していた被害者につき,事故当時,家事労働を行っていたとは言い難い面があるが,事故に遭わなければ夫の見舞いに行って身の回りの世話をするなどの家事労働に従事していた可能性も否定できないとして,30%が認められた。
・ 娘と家事を分担し,記事を雑誌に寄稿したり講演活動をしていた被害者につき,賃金センサスの女子学歴計65歳以上の平均80%を基礎に,当初100%,その後30%が認められた。
・ 求職中の主婦である長女夫婦と同居し,同人らのために掃除,買い物,クリーニングの依頼・受取,夕食の下ごしらえ等家事を補助していた被害者につき,賃金センサスの女子学歴計70歳以上の4割を基礎に,200日間が認められた。
・ 専業主婦につき,夫と2人暮らしであり,本件事故で夫が死亡し,事故後は他人のために家事を行う状況でなくなったところ,自分のためだけに家事を行う者に休業損害は認められないのが原則であるが,夫のために家事に従事しなければ,他で働いて収入を得る選択肢もあったと考えられ,夫を死亡させたのが加害者であることから,休業損害を認めないのは相当でないとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,89日間が認められた。
(2)兼業主婦の事例
・ 有職主婦につき,事故日から症状固定まで506日間,75%の労働能力の制限があったとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に認められた。
・ 育児休業中に事故に遭った会社員兼主婦につき,職場復帰予定日に復帰できなかった場合に,育児休業中は賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,復帰予定日から実際に復帰した日までは育児休業前の年収を基礎として認められた。
・ 英語教室開設兼主婦につき,症状が強度であること,事故後約3ヶ月後から英語教室を再開したが生徒数が減少して契約を打ち切られ教室を閉鎖したこと等から,入院期間は100%,退院後約1年は60%,その後症状固定まで35%が認められた。
・ 病院教授秘書兼主婦につき,有職部分付いては,代替する者がいなかったため無理して出勤し減収は無かったが,仕事の効率の低下を無報酬での残業や休日出勤により補っていたことから,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,事故日から52日間は40%,それ以後症状固定までは20%として認められた。
・ 生活保護とヒプノセラピストで生計をたて,息子,娘と同居し家事をしていた主婦につき,賃金センサスの女子高卒45歳から49歳を基礎として,当初90日間を90%,次の60日間を50%,残りを25%として認められた。
・ パート勤務につき,事故当時内縁の夫と同居し,主に内縁の夫の収入で生計を立てていたことから,症状固定後に内縁を解消したとしても事故時において家事従事者として,休業損害が認められた。
・ 老人ホームの介護職として就労する主婦につき,事故後約20日で復職しているが,体に負担がかかる仕事は他の職員に代わってもらうなどしていたことから,当初80%,その後40%,その後20%が休業損害が認められた。
・ クリーニング工場パート兼主婦につき,主婦として一家の家事全般に従事するとともに,週3回程度のパート勤務を行っていたことから,入院中は100%,その後は家族の援助のもとで炊事,洗濯等一定範囲の家事に従事していたことや高次脳機能障害の程度などを考慮し70%が認められた。
・ 夫が経営する複数のクリーニング店の業務に従事しながら,その本店に夫と住み込み家事労働にも従事する被害者につき,入院中は100%,その後リハビリ終了まで50%,その後症状固定日まで25%が認められた。
(3)男性の家事従事者の事例
・ ダンスインストラクターの被害者につき,基本的には内縁関係にある交際相手の稼働収入によって生活し,同人のために炊事や洗濯等の家事をしていた兼業主夫の状況にあったとして,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,通院実日数,1日あたり半日の限度で認められた。
・ 妻が正社員として働き,専業主夫として洗濯,掃除,料理等の家事労働を行っていた被害者につき,賃金センサスの女子全年齢平均賃金を基礎に,入院中は100%,通院中は25%として認められた。
・ フルタイムで仕事をする妻及び二女と同居していた無職者につき,日常的に家事労働に従事していたとして,賃金センサスの女子学歴計65歳以上から既存障害分を控除した金額を基礎として認められた。
・ 脊柱管狭窄症等を患っていた妻と同居していた被害者につき,主たる家事従事者と認め,賃金センサスの女子学歴計65歳から69歳を基礎に,通院期間の30%が認められた。
・ 寝たきりの妻の介護を行っていた被害者につき,妻の介護を行っていたことを家事労働と認め,賃金センサスの女子学歴計65歳以上の80%を基礎に,事故日から妻が死亡した日まで認められた。
・ 入退院を繰り返していた妻及び娘と同居し,妻に代わって家事の多くを分担していた被害者につき,家事労働を月額18万円と評価し,事故日から76日間は100%,それ以降症状固定までは75%を認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
家事従事者の休業損害は保険会社に否定されることも多いですが,弁護士法人しまかぜ法律事務所では,家事従事者の休業損害の請求事例が多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(3)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
1.有職者
(3)会社役員
会社役員が受け取る役員報酬には,実際の労務提供の対価としての報酬と,労働しなくてももらえる利益配当の実質をもつ報酬の2種類が含まれています。利益配当の実質をもつ報酬は,休業してももらえるため,減額されても休業損害ではありません。一方、労務提供の対価としての報酬は,減額されれば休業損害として認められます。
労働の対価としての報酬は,企業規模や報酬額,実際の仕事内容などによって算定されます。
会社役員で休業損害が認められた事例の一部を紹介します。
・ 建物解体工事・建材卸業等を目的とする会社の代表者につき,個人会社で被害者の職務内容も肉体労働が多いこと等から,役員報酬全額を労務の対価と認めた。
・ 会社役員であるが,名目的取締役で,従業員として労働に従事していた被害者につき,事故後報酬の全額が支給されていないことから,役員報酬部分についても労働の対価と認めた。
・ 鉄工業を目的とする会社の代表者につき,賃金センサス,他の役員報酬や従業員の賃金との比較等を併せ考えて役員報酬額の7割を労務の対価と認めた。
・ 父親の経営する印刷会社の監査役につき,会社の中心的な働き手として稼働していることから,会社から得る収入はその労務の対価として不相当なものとはいえないとして,事故前年年収全額を基礎とした。
・ 夫が代表取締役の同族会社でで肉体労働に従事していた専務取締役につき,休業中でも人員の増員はなく,売上・利益とも横ばいもしくは増加する一方,他の役員報酬が増加したり,復職後軽作業であることから,実質的な利益配当部分は少なくとも40%として,年収の60%を基礎とした。
・ 兄の経営する印刷会社の専務取締役につき,会社の規模,利益状況に加え,実質的な営業活動をしていたこと,事故後の役員報酬の減少状況,学歴等に照らし,控えめにみても報酬のうち労務対価性のある部分は70%とした。
・ 会社役員につき,事故後は業務に従事できず役員報酬が一切支給されなかったこと,復職後は業務量が事故前より30%程度減少しているにもかかわらず事故前と同水準の収入を得ていることから,役員報酬のうち労働と対価的関連性を有する部分を,一般的な労働者が得るであろう平均的な賃金の2倍程度とした。
・ 美容院を営む会社の代表者につき,同社で稼働していたのは代表者のみであることから,事故前3ヶ月の会社の売上から経費を控除した金額を基礎収入とした。
・ 印刷機器の販売等を業とする会社の代表取締役の休業損害につき,会社が1人会社であり,親族が経理事務を手伝うほかは,代表取締役が単独で業務を行っていたと認められるとして,役員報酬全てを労務提供の対価と認めた。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,会社役員の休業損害の請求事例も多数ありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(2)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
1.有職者
(2)事業所得者
現実の収入減があった場合に認められます。
基本的な算定方法は,基礎収入(事故前年の事業所得金額÷365日)×休業日数です。
事業所得金額に事業専従者控除額or青色申告特別控除額を加算する,寄与率を考慮する,完全休業の場合は固定費を加算する等,事故に遭われた方の状況によって,計算方法が変わります。
休業損害を請求するには確定申告書の控えを提出する必要がありますが,課税証明書等,事故前年の所得が証明できる資料で代用することもできます。
ア 認定例
右肩痛,右手の痺れがある理容師,右肩痛の左官職人など,傷害を負った部位が業務に不可欠な場合,長期間の休業が認められやすい傾向にあります。
映像コンテンツの企画,演出等の業務を行っていた事業所得者につき,事故により締め切りまでに出来ず契約を解除された場合,得られなかった演出料,著作権料,ロケハン等の費用が認められた事例があります。
一方,開業から一貫して大幅な赤字傾向にある場合,休業期間中の所得の減少は,事業の経済効率の悪さ,社会・経済状況の変動及び同業社との競合等による受注減少という可能性も否定できないとし,全額認められない事例もあります。
イ 申告所得を超える収入を認めた事例
修正申告した場合,過少申告していて確定申告額以上の所得があることが証明できる場合は,申告所得を超える収入が認められることもあります。
また,確定申告をしていない場合,過少申告で実際の所得額が証明できない場合は,借入金の返済状況や扶養家族の人数から,賃金センサスを基礎とする事例もあります。
ウ 減収はないが休業損害を認めた事例
妻や子などの協力によって減収がない場合,営業活動の効果により所得が増加した場合,事故前に受注した仕事をしていた場合等,減収がなくても休業損害が認められます。
また,年ごとの所得の変動が大きい業種で,事故後に減収が生じていないのが収入の喪失がなかったからなのか,景気の動向等を含むその他の要因によるものであるかを的確に認定することは困難だとして,一部認められた事例があります。
エ 固定経費に関する事例
事故により事業を完全休業したとしても,家賃,保険料,減価償却費などの負担を免れることはできません。これらの固定経費は,休業損害として加算して請求できます。
固定経費として認められたものとして,租税公課,損害保険料,利子割引率,地代家賃,諸経費,リース料,減価償却費,修繕費,管理緒費,諸会費,水道光熱費,通信費,研修費,販売促進費,会社控除,支払手数料などがあります。
接待交際費は,冠婚葬祭費,慶弔費,お見舞い金,お歳暮・中元の贈り物は固定経費と認められますが,飲食を伴う接待交際費は認められません。
また,事業廃止届を提出するなどして事業を廃止することが確定した以降は,経費を支出する理由はないとして,申告所得額を基礎とします。
オ 事業再開後の損害に関する事例
そば店経営者につき,出前に売上の7割を依存していたことから,休業期間経過後の売上減少による損害として100万円が認められました。
歯科医師につき,診療再開後も休診の影響から患者が減少し売上が減少したとして,診療再開後3ヶ月間の売上減少の8割が損害として認められました。
飲食店経営者につき,店舗再開後症状固定までの期間について,認定された後遺障害等級の喪失率を乗じた金額が認められました。
カ 廃業による損害に関する事例
事故後廃業した美容院経営者につき,事故に遭わなければ経営を継続していたとして,事故から約2年前の開業時に支出した費用の約5割が認められました。
キ 代替労働力に関する事例
事故により自身が就労できないために代替労働者を雇い,その人に給料や賃金を支払った場合,その支出分を被害者本人の休業損害として請求できます。
新聞配達員,一人で開業している歯科医師,内科開業医,ブリーダー,水道設備業者等で認められた事例があります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,様々な休業損害の請求事例がありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:お盆時期に交通事故の被害に遭われたら
お盆時期は交通量が増加するため交通事故も多発し,毎年多くの方が交通事故の被害に遭われています。
普段は電車やバス等を利用している方が,混雑を避けるために車を利用するなど,運転が不慣れな人,免許を取得したばかりの人もいますので,すべてのドライバーが事故が発生しないよう注意が必要です。
また,近年は高齢者が被害に遭う事故やあおり運転,自転車による事故も多くなっています。
では,お盆時期に交通事故の被害に遭われたら,どうすればよいでしょうか。
交通死亡事故の場合,お亡くなりになられた方が一家の大黒柱ですと,早急な金銭的サポートが必要になることもあります。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,直接,自賠責に保険金を請求し,まず自賠責の範囲内で保険金を獲得し,最終的に弁護士基準との差額を請求しています。2段階の手続きを行うことで早急な金銭回収が可能となり,ご遺族が生活費でお困りになる危険を回避します。
ご家族が死亡事故に遭われお困りの方は,ぜひ,早期にご相談ください。
【コラム】:消極損害その1 休業損害(1)
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
消極損害その1 休業損害
休業損害とは,交通事故の被害者が,治療や療養のために休業したことによって得ることができなくなった収入・利益の損害のことです。
死亡事故では死亡に至るまでの休業損害を請求できます。
1.有職者
(1)給与所得者
事故前3か月の総支給額(社会保険料などを控除しない)を基礎収入とし,90日で割った日額に休業日数を乗じた金額が基本の算定方法となります。
請求するには,勤務先に記載してもらった休業損害証明書(休業日,事故前3か月の給与支払い状況等),事故前年の源泉徴収票を提出する必要があります。
ア 基礎収入の算定・賃金項目についての事例
入社して間もない場合や内定中の場合は,雇用契約書に記載されている基本給をもとに基礎収入を算出することがあります。
複数の職場で勤務している場合,それぞれの職場で休業があれば,職場ごとに休業損害を請求することができます。
イ 有給休暇
有給休暇を使った場合は現実の収入減はありませんが,有給休暇は財産的価値を有すべき権利であって,それが本件事故により費消させられたため,有給の財産的価値についても休業損害として請求できます。
なお,積立休暇についても,有給休暇と同様に財産的価値があるものと認められています。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
特に休業損害は,支払われないことで生活が困窮する場合もありますので,ひとりひとりの事情を詳しくお伺いして,適正な金額を請求することが大切です。
しまかぜ法律事務所では,様々な休業損害の請求事例がありますので,適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:積極損害 8.弁護士費用
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
8.弁護士費用
弁護士費用は,依頼者が負担することになっていますが,例外として,不法行為を理由として損害賠償を請求する裁判では、認容額の10%程度を加害者側に負担させることが認められています。
認容額の10%以上の弁護士費用を認めた裁判例もあります。
・被害者とその夫が日本語を十分に理解しないために相当な時間と労力を費やした事例
・加害者が捜査段階で過失を認めていたにもかかわらず,民事訴訟においては被害者の主張を争う,本人尋問期日に正当な理由なく出頭しない等の態度に出たことから,弁護士に依頼して訴訟追行する必要が高かったとした事例
その他,弁護士費用に関する裁判例は以下のものがあります。
・被害者が自動車保険契約の弁護士費用特約を利用したとしても,弁護士費用相当額の保険金は被害者の負担した保険料の対価として支払われるものであるから,弁護士費用相当額の損害が発生していないとはいえないとした事例
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:上半期の愛知県内の交通事故死者数が過去最少
愛知県警察によると,令和3年上半期に愛知県内で発生した交通事故による死者は51人でした。昨年の同じ時期と比べ25人少なく,月別の統計を始めた1952年以降、最も少ない数字となりました。
(https://www.pref.aichi.jp/police/koutsu/jiko/koutsu-s/documents/koutuusibouzikohasseijyoukyouR3.6.pdf)
年齢別でみると,65歳以上の高齢者は32人で,全体の62.7%と非常に多くなっています。
また,時間帯としては,午後6時から午後10時までの時間帯が最も多くなっています。当事者,事故類型からは,道路を横断している歩行者がはねられるケースが多いことが分かります。
死者数が減少した背景には,外出自粛により事故が減ったことがありますが,夏休みに入り,帰省や近場のレジャー等で自動車を使う機会が増える方もいるかと思いますので,事故が発生しないよう安全運転を心がけることが大切です。
また,子どもたちが自転車で外出する機会も増えますので,信号や一時停止の標識を守る,安全な速度で運転をする,ヘルメットを必ずかぶる等,今一度ルールを確認し,子どもたちの自転車事故を防ぐことも必要です。
自転車による交通事故は,衝撃が生身に伝わるということもあり,死亡事故や重篤な障害が残る事故につながりやすくなります。
死亡事故や後遺障害が残存した場合,逸失利益(生きていれば得られるはずであった収入など,交通死亡事故によって失われた利益のこと)が支払われますが,就労可能年数が長いほど逸失利益は高額となります。
死亡逸失利益は,基礎収入×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数で計算されます。
仮に,10歳の小学生男子が事故により死亡した場合の死亡逸失利益は,5646万4996円となります。
<計算方法>
1.基礎収入:賃金センサス男女別全年齢学歴計の平均賃金額で,令和元年は560万9700円となります。
2.生活控除率:男性は50%です。
3.就労可能年数:未就労者(幼児,学生等)の就労可能年数は始期が18歳のため49年で,ライプニッツ係数は20.1312(27.1509-7.0197)です。
560万9700円×(1-0.5)×20.1312=5646万4996円
また,自転車事故の場合,過失割合が問題になることも多いですが,死亡事故や重篤な障害が残る事故は賠償額が高額となるため,適正な過失割合で解決することが非常に重要となります。
自転車と自動車の事故の場合,自動車にドライブレコーダーが搭載されていれば事故状況が明らかになりますが,自転車同士,自転車と歩行者の事故の場合は,事故状況に争いが生じることも少なくありません。
弁護士法人しまかぜ法律事務所では,ドライブレコーダー映像や事故の現場図を分析し,正確な事故態様を明らかにしたうえで,適正な過失割合で事故の解決をしています。
交通死亡事故における豊富な解決実績がありますので,交通死亡事故でお困りの方は,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:積極損害 7.その他
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
7.その他
(1)海外からの帰国費用等を認めた事例
葬儀に出席する場合に,海外に住んでいる家族の旅費が認められた事例があります。
(2)旅行のキャンセル料等を認めた事例
旅行の予約をしていたものの,交通事故の被害に遭いキャンセルせざるを得ない場合,旅行のキャンセル代が認められた事例があります。
(3)被害者が経営する会社の清算費用を認めた事例
個人で有限会社を経営する被害者が事故により死亡したため,会社を清算するために要した清算費用が認められた事例があります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
交通事故と相当因果関係があれば認められる内容も多くありますので,請求できるか迷われる場合には,ぜひ,ご相談ください。
【コラム】:積極損害 6.損害賠償請求関係費用
交通事故の被害に遭い,加害者へ請求できる損害賠償には,積極損害,消極損害,慰謝料があります。
積極損害とは,事故により被害者が実際に支払った費用のことで,治療費や通院交通費などです。消極損害は,事故に遭わなければ被害者が得られたであろう将来の利益のことで,休業損害や逸失利益です。慰謝料は,事故に遭うことで受ける肉体的・精神的な苦痛に対する賠償金です。
請求できる内容や注意点など,詳しくご紹介します。
6.損害賠償請求関係費用
診断書料等の文書料や保険金請求手続に必要な費用など,必要かつ相当な範囲で認められます。
その他,認められた事例としては,以下のものがあります。
・死体検案料,死体検案診断書代,検案往診料
・戸籍謄本の取得費用
・目撃者への謝礼
・ひき逃げによる死亡事故につき,妻が加害者の刑事公判を傍聴するために支出した飛行機代
また,事故態様を明らかにするための鑑定費用,医師の意見書費用,カルテ開示費用,刑事記録謄写費用など,被害者が弁護士特約に加入している場合,弁護士特約の保険会社から支払われる費用もあります。
愛知県では,愛知県警の取り締まり強化により,2年連続で交通事故死者数全国ワーストを脱却しましたが,未だ多くのご遺族が交通死亡事故の被害で苦しんでいます。
交通事故の被害に遭い,加害者に請求できる内容は,被害に遭われた方の症状や職業等によって,それぞれ変わってきます。
しまかぜ法律事務所では,事故態様を明らかにするための鑑定書や,症状を立証するための医師の意見書等,事案ごとに必要な書類を取り寄せています。適正な賠償額で解決するためにも,ぜひ,ご相談ください。