【コラム】:過失割合について(高速道路上の事故 3.追突事故)
死亡事故は,賠償額が高額になるため,1割の過失割合で受け取れる金額が大きく変わります。そのため,適正な過失割合で解決することは非常に重要となります。
事故態様ごとに基本的な過失割合をご紹介していますが,この割合がすべてではなく,速度超過や直近まで被害者に気づかなかったことや,様々な事実で過失割合は修正されます。一つの参考としてご理解いただければと思います。
3.追突事故
高速道路では,高速での走行が許容され,最低速度を維持する義務があり,駐停車は原則として禁止されるから,高速道路において駐停車し,又は急ブレーキをかけた先行自動車と後続する自動車との間で追突事故が発生した場合は,やむを得ない事情がない限り,先行自動車の運転者も過失責任を負います。
(1)過失等により本線車道等に駐停車した自動車に対する追突事故
本線車道若しくはこれに接する加速車線,減速車線若しくは登坂車線において,前車が,何らかの落ち度を認めるべき事情,例えば,事前の整備不良によるガス欠・エンジントラブル,事故に過失のある先行事故等により運転に支障を来して駐停車し,これに前方不注視の後者が追突した場合を想定しています。
ア 四輪車同士の事故【320】
追突車:60 被追突車:40
基本の過失相殺率は,被追突車に路肩への退避が可能であったにもかかわらず退避措置を怠った過失か,停止表示器財の設置が可能であったにもかかわらずこれを怠った過失のいずれかがあったことを前提としています。
退避措置に関する過失と停止表示器財の設置に関する関する過失がいずれも認められる場合は「その他の著しい過失・重過失」による修正をし,過失がいずれも認められない場合は,「退避不能かつ停止表示器財設置等」による修正をします。
被追突車の「著しい過失」の例として,上記の他,先行事故について被追突車に主たる過失がある場合が考えられます。また「重過失」の例として,被追突車が風景・事故見物のため意図的に駐停車した場合が考えられます。
一方,追突車の「著しい過失」として,著しい前方不注視がありますが,著しい前方不注視とは,被追突車が設置した停止表示器財等を認識することが可能であった場合,被追突車のハザードランプによって追突車が被追突車の存在を容易に知り得た場合,追突車の先行車が何台も被追突車を回避して走行している場合等が挙げられます。
イ 自動二輪車と四輪車との事故
視認不良の修正について,追突車が自動二輪車の場合,前照灯の照射力が四輪車に比較して弱いために,被追突車の発見はより困難になると考えられます。
(ア)四輪車駐停車【321】
追突車:50 被追突車:50
(イ)自動二輪車駐停車【322】
追突車:70 被追突車:30
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