Archive for the ‘コラム’ Category

【コラム】:死亡逸失利益について(高齢者で請求可能な場合)

2016-07-01

死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。

第6回は,高齢者です。

高齢者の基礎収入で問題となることが多いのは, ①請求可能はどのような場合か,②年金の算定方法です。

まずは,①請求可能はどのような場合かについて説明させていただきます。

 

高齢者でも仕事をしている場合は,その仕事における基礎収入で算定します。

 

高齢者が家事従事者の場合は,家事従事者の基礎収入で請求します。家事従事者の基礎収入は,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を参考にしますが,平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。もっとも,高齢であることを理由に,家事の程度に応じて,平均賃金の7割や8割と減額して認定する裁判例も少なくありません。

 

事故当時無職で,家事従事者でもない場合は,原則として,年金以外に基礎収入を算定できませんが,就職の可能性が高いと証明できる場合は,給与推定額で基礎収入を算定します。ただし,この証明には相当のハードルがあり,実際に就職が決まっていたことと同程度の証明が必要です。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(学生・年少者の算定方法)

2016-06-27

死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。

第5回は,学生・年少者です。

学生・年少者の基礎収入で問題となることが多いのは, 算定方法です。

学生・年少者の基礎収入は,男子であれば,男計・学歴計・年齢計の平均賃金を参考にし,平成26年賃金センサスでは,536万0400円です。女子であれば,男女計・学歴計・年齢計の平均賃金を参考にし,平成26年賃金センサスでは,479万6800円です。

 

女子の場合は,男女計の平均賃金ではなく,女性のみの平均賃金とする裁判例もありますが,収入の男女差が小さくなっている傾向から,被害者が就労を開始する数年後には,現在より更に男女差が小さくなっている可能性が高いとして,男女計の平均賃金を基準にする裁判例は非常に多くみられます。
もっとも,①基礎収入が男女計の場合,②生活費控除率についても男性と同様に40~45%と認定する裁判例がほとんどです。
女子が被害者の場合,ⅰ①基礎収入を女性の平均賃金,②生活費控除率を30%で算定するか,ⅱ①基礎収入を男女の平均賃金,②生活費控除率を男性同様40~45%で算定するかのいずれが高額になるかを検討する必要がありますが,実績豊富なしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

 

学生・年少者の場合,学歴計の平均賃金で算定することが多いですが,大学進学が確実である場合,大卒の平均賃金で請求します。また,親が開業医で医院を引き継ぐ予定など特定の職種になる可能性が高い場合は,特定の職種の平均賃金を基準にします。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(家事従事者の算定方法)

2016-06-19

死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。

第4回は,家事従事者(主婦)です。

家事従事者(主婦)の基礎収入で問題となることが多いのは, 算定方法です。

 

家事従事者の年収は,女性労働者の学歴計・年齢計の平均賃金を参考にしますが,平成26年賃金センサスでは,364万1200円です。

家事をしながら仕事をしている方も多いと思いますが,ほとんどの裁判例では,仕事での賃金額を加算せずに,家事従事者の年収である364万1200円(平成26年賃金センサス)として認定します。
これは,主婦業は24時間労働であり,その主婦業全体の経済的価値を家事従事者の年収で評価したのであるから,その一部の時間を利用して仕事をしたとしても,それは主婦業の一部が仕事に転化したに過ぎないという理由です。
仕事の年収が,家事従事者の年収を超える場合は,仕事の年収で算定します。この場合の逸失利益は,③就労可能年数(おおむね67歳)までは仕事の年収として算定し,67歳以降は家事従事者の年収として算定する段階的方法とします。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(会社役員の算定方法)

2016-06-11

死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。

第3回は,会社役員です。

会社役員の基礎収入で問題となることが多いのは, 算定方法です。

 
役員報酬には,Ⅰ労務対価部分と,Ⅱ利益配当部分の性格があります。
会社役員が死亡した場合は,Ⅰ労務対価部分だけでなく,Ⅱ利益配当部分も失うことから,役員報酬全額が基礎収入となりそうですが,多くの裁判例は,Ⅰ労務対価部分のみ基礎収入として認定しています(最判昭43・8・2判時530・35)。
もっとも,小規模会社や,サラリーマン役員など,役員報酬の性格が,Ⅰ労務対価が100%であると認定される場合は,役員報酬全額が基礎収入となります。
問題は,役員報酬の,どの程度が労務対価部分といえるかです。

 

Ⅰ労務対価部分は,次の項目を総合考慮して認定されます。
ⅰ会社規模
 大規模であれば,労務対価の性格は弱くなります
ⅱ会社の利益状況
 会社役員が死亡したことで,会社がどの程度減収したかです。減収が大きければ,会社役員の労務の程度が大きいと判断されます。
ⅲ役員の地位・職務内容
 労務対価として認定できる職務を行っているかです。
ⅳ年齢
 労務を想定できないほどの高齢ではないか。同じ年齢の給与所得者はどの程度の給与を得ているかも参考にします。
ⅴ役員報酬の額
 同じ年齢の給与所得者とあまりにも金額に差異がある場合,利益配当部分の性格が強いと言えます。
ⅵ他の役員の職務内容と報酬額の比較
 他の役員より高額であれば,利益配当部分の性格が強くなります。
ⅶ他の従業員の給与額の比較
 従業員は労務対価として給与を得ているため参考になります。

 

会社役員の基礎収入を算定するために必要な資料は,次のとおりです。
ⅰ法人事業概況説明書
  会社規模を把握するためです。
ⅱ決算報告書
 会社の利益状況を把握するためです。
ⅲ月次損益計算書
 会社の利益状況を把握するためです。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
しまかぜ法律事務所では,役員報酬の労務対価部分を適正に算定するために必要な資料を,被害者ごとに個別に考えてご案内しています。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(個人事業主が確定申告していない場合)

2016-06-05

個人事業主の逸失利益で問題となることが多い,②確定申告をしていない場合の算定方法を,説明させていただきます。

個人事業を開業したばかりなど確定申告をしていない場合があります。個人事業主の基礎収入は,事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額で算定するため,原則,事故前年度の確定申告書が必要ですが,確定申告をしていない場合は,どのように基礎収入を算定するのでしょうか。

 

帳簿などから年間売上げや経費が明らかになる場合は,事業所得を算定して基礎収入とします。
また,労働者の平均賃金を統計した賃金センサスを参考に基礎収入を算定する裁判例も少なくありません。

 

しまかぜ法律事務所では,確定申告をしていない被害者でも事故前は生活を行ってた以上,適正な基礎収入を算定して逸失利益を請求しています。
死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(個人事業主の算定方法)

2016-05-29

死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載しています。

第2回は,法人成りしていない経営者や,開業医,弁護士,保険外交員,一人親方,ホステスなど個人事業主です。

個人事業主の基礎収入で問題となることが多いのは, ①算定方法,②確定申告をしていない場合の算定方法です。

 

まずは,①算定方法について説明させていただきます。

個人事業主の基礎収入は,事故前年の事業所得金額+事業専従者控除額or青色申告特別控除額で算定します。
 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(給与所得者が退職金を減額された場合)

2016-05-21

給与所得者の逸失利益で問題となることが多い,④退職金の減額分を請求できるかを,説明させていただきます。

 

退職金が支給されることが確実であった場合,事故死亡時に支給された退職金と,定年時に支給予定の退職金との差額を請求することができます。
ただし,単に差額を出すのではなく,定年時の退職金を,事故死亡時に早期受給できた利益を考慮する必要があります。
この利益は,ライプニッツ係数(現価表)において算定します。

 

例えば,被害者が50歳,事故死亡時の退職金として1200万円受給,定年時(60歳)に支給予定の退職金が2000万円であった場合について,具体的に説明させていただきます。
退職金差額は,2000万円-1200万円=800万円ではありません。
10年早期受給できた利益を考慮する必要があり,10年のライプニッツ係数(現価表)は,0.6139です。
そのため,退職金差額は,2000万円×0.6139-1200万円=27万8000円となります。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
退職金差額を含めた適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(給与所得者が昇給予定の場合)

2016-05-15

給与所得者の基礎収入で問題となることが多い,③将来昇給が見込まれた場合の算定方法を,説明させていただきます。

 

基礎収入は原則として事故前年の収入額です。
しかし,死亡逸失利益とは,生きていれば得られるはずであった収入が失われた損害です。将来の昇給が確実である場合,事故前年の収入額を基準にすることは将来の逸失利益の算定方法として適正ではありません。

 

裁判例では,将来の昇給を考慮して死亡逸失利益を算定することも少なくありません。裁判例で認定されているのは,昇給基準が明確化されている場合です。例えば,公務員や,昇給規定が明確化している企業に勤務していた場合などです。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
若年労働者の場合,将来的に多くの昇給が見込まれたはずです。適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(給与所得者が若年の場合)

2016-05-07

給与所得者の基礎収入で問題となることが多い,②若年労働者の算定方法を,説明させていただきます。

 

死亡逸失利益とは,生きていれば得られるはずであった収入が失われた損害です。一般的に若年労働者の給与は低額であるため,死亡時の低額な給与を基準に将来の逸失利益を算定するのは適正ではありません。

 

そこで,多くの裁判例では,30歳未満の若年労働者の基礎収入について,死亡時の給与を基準とするのではなく,全年齢の平均給与を基準に算定しています。
『平成11年11月22日付交通事故による逸失利益の算定方式に付いての共同提言』(判時1692号162頁以下))において,東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の三庁が同様の提言を行っています。

 

例えば,男性・大卒・25歳が死亡し,実際の年収は400万円だとしても,400万円を基礎収入とするのではなく,男性・大卒・全年齢の賃金センサスである648万7100円(平成26年賃金センサス)を基礎収入とします。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

【コラム】:死亡逸失利益について(給与所得者の算定方法)

2016-04-24

生きていれば得られるはずであった収入が失われた損害が,死亡逸失利益として請求できます。
死亡逸失利益は,①基礎収入×(1-②生活費控除率)×③就労可能年数によるライプニッツ係数で算定しますが,①基礎収入に関しての問題点を説明させていただきます。

①基礎収入は,被害者の属性に応じて算定方法が様々ですので,属性に応じて説明を連載させていただきます。

第1回は,給与所得者です。

給与所得者の基礎収入で問題となることが多いのは, ①算定方法,②若年労働者の算定方法,③将来昇給が見込まれる場合の算定方法,④退職金の減額分を請求できるかです。

 

まずは,①算定方法について説明させていただきます。

給与所得者の基礎収入は,原則として事故前年の収入額とします。源泉徴収票の税金等を控除される前の金額です。

 

死亡逸失利益は,一般的に,死亡事故の賠償項目でもっとも高額となります。
適正な賠償額を獲得するためにも,豊富な知識と実績を備えたしまかぜ法律事務所に,ぜひ,ご相談ください。

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